生命を預かる仕事の理想と現実
自分の気持ちの整理のために、少しばかり重たい話を書きます。
実習中、さまざまな患者さんと出会いますが、大半の患者さんは学生実習にとても協力的です。上半身の服を脱いで聴診に協力してくださったり、拙い問診にも丁寧に答えてくださったり……。私から見るとちょうど祖父母と同世代の患者さんが多いので、孫と話すような気持ちで接してくださっている部分も少なからずあるのではと思います。
そうやって患者さんと仲良くなると、ご病気が早く治るよう祈る気持ちが強くなります。しかし、何と言っても大学病院なので、かなり厳しい病状の患者さんもいらっしゃるのが現実です。なかには、まだ告知はされていないものの「おそらく余命半年もないだろう」という診立ての方も。
余命などについて、学生から患者さんに情報を漏らすのはもちろんタブーです。しかし、実習でお世話になった患者さんの病状が悪いと、学生として何もして差し上げられないことに、どうしてもやるせない気持ちが湧いてしまいます。
なかには今でも病室に通うようにしている長期入院の患者さんもいるのですが(下記↓)、
学生とはいえそれなりに忙しいため、現実問題として、患者さん全員にそれができるわけではありません。
医師として働き始めれば今とは比較にならないほど大勢の患者さんを受け持つことになります。そのようなとき、いわば「患者さんに情が移る」のを、どこまで許容するのか……。
生命を預かる仕事ゆえに、100%ビジネスライクに割り切ることもできず、自分の中での線引きが非常に難しいなと最近つらつら考えているところです。
*トリおんな*