ハッとさせられた患者さんのひと言
とある科の実習で、十七歳の女の子を担当する機会がありました。年が近いこともあり、姉妹のような感覚で毎日病室に通っては他愛もない世間話をするのが実習期間中の常でした。
そんなある日のこと。
「○○ちゃんは『華のセブンティーン』だね。いいなあ」
何気なくそう言ったところ、ポツリと
「まあ、その『華のセブンティーン』をこうして病院で過ごしてるわけだけど」
という言葉が返ってきて、ハッと胸を突かれた思いがしました。
彼女は長期の入院治療を必要とする疾患を患っています。
表面上は笑顔を見せてくれていたとはいえ、高校の友達とも離れ、内心どれほど寂しかったことでしょう。やはり、キラキラした青春の時間が病気のせいでどんどん消費されていくという、焦りに似た気持ちを抱えていたのだと思います。
普段は明るく振る舞う患者さんの本心に触れるとともに、医療者の思わぬ一言が患者さんを傷つけることがある(逆に喜ばせることもありますが)ということに実感を伴って気づかされた、とても印象的な出来事でした。
その診療科の実習が終わった後も、実習中の空き時間を見つけては、この患者さんに会いに行くようにしています。
彼女の病気が早く治ることを祈っています。
*トリおんな*