コーヒー2杯分のゆとりを
実習の昼休みの出来事です。
購買でコーヒー(ボタンを押すとマシンがその場で豆から挽いてくれるタイプの)を買って、いざ束の間のコーヒーブレイクを楽しもうとした、まさにそのとき。
ブルル、ブルル。
ポケットの携帯が震えました。見ると、指導医の先生からの着信。
「もしもし」
「あっ、◯◯さん。今からすぐにナースステーションまで来られる?」
「はい……わかりました……」
呼び出しの理由はすぐに終わる案件だったので、ほっとしました。患者さんが急変したなんていう連絡じゃなくて、本当によかった。
ただ……。
淹れたてのコーヒーを捨てるにしのびず、持って行ったのですが、用件が片づいた後で飲んだぬるいコーヒーの味は、何だかとても切なかったです(涙)
さて。
昔読んだ英語の小話で、印象に残っているものがあります。タイトルは「The Mayonnaise Jar and 2 Cups of Coffee」。
(こちら↓から全文読むことができます)
The Mayonnaise Jar and 2 Cups of Coffee
大すじとしては、以下の通り。
*・*・*・*・*・*・*・*
教授が学生に一つの広口瓶を見せ、まずビンの中にゴルフボールを入るだけ詰める。
教授「このビンが、満杯に見えるかね?」
学生「はい」
教授「ふっふっふ。甘いねぇ(`∇´)」
教授、たくさんの小石をゴルフボールの隙間に入れる。
教授「さぁ、今度は満杯かい?」
学生「はい、満杯です」
教授「まだだぴょーん( ̄∇ ̄)」
今度は、細かな砂をビンの中に流し込む教授。
教授「さぁ、これでこのビンはようやく満杯だ」
教授「さて。ゴルフボール=最も大切なもの(家族など)、小石=まあまあ大切なもの(仕事など)、砂=どうでもいい物事、と考えてみよう。ビンは、人生そのものだ。砂を先に入れてしまえば、ゴルフボールが入らなくなってしまう。限りある人生のなかでは、君たちにとって大切なもののスペースを先に確保しなければならないんだ」
*・*・*・*・*・*・*・*
ね、いい話でしょう。
でも、私が一番気に入っているのは、この後のオチの部分なんです。
*・*・*・*・*・*・*・*
「だが、たとえ人生がキャパオーバーに思えたとしても」
そう言って、2杯のコーヒーをビンに流し込む教授。
「友人と一緒にコーヒーを楽しむくらいの余裕は、残っているものだよ」
*・*・*・*・*・*・*・*
……昼休み、飲むタイミングを逃してしまったコーヒー。卒業して働きはじめれば、こんなことはきっと日常茶飯事なのでしょう。
でも、日々の仕事に忙殺されて、心の余裕までなくしたら、医師としてのパフォーマンスも落ちてしまうと思うのです。いくら「患者さんの役に立ちたい」と思っていても、まずは自分自身が楽しい気分でなくちゃ、人様に幸せを分けて差し上げるのは至難のわざ。だって、医師もひとりの人間なんだもの。
忙しい毎日でも、心のゆとりを忘れない人になりたい。
日に日に国試・卒業が近づくなか、そんなことをつらつら考える今日この頃です。
*トリおんな*
↑メルマガ「KOKUTAI ONLINE」で連載中。アドレスのみでラクラク購読登録できます。
When things in your life seem almost too much to handle, when 24 hours in a day are not enough, remember the mayonnaise jar and the 2 cups of coffee.
ヨメない一言
入院患者さんへの治療計画説明に同席しました。
患者さんは、80歳近い男性の方。
先生「うちの病院は大学病院ですので、差し支えなければ学生の実習にご協力いただければと思います」
患者さん「ええ、ええ。構いませんよ」
先生「ありがとうございます。こちらが、一緒に診察させていただく医学生です」
トリ「はじめまして。医学部6年の◯◯と申します」
患者さん「あらぁ~、あんた、医学生さんなの」
トリ「はい、よろしくお願いします!」
患者さん「……そやけど、お嫁さんには行かんのかね?」
( ̄◇ ̄;)
一瞬絶句したトリおんなでございます。
やはり、世代が違えば、このような考え方をなさる方も多いのでしょうね。
患者さんに他意はないと分かっているだけに、一周まわって逆に新鮮でした(笑)
*トリおんな*
連載第3回「雨ニモマケズ風ニモマケズ?」
お風呂場に蚊が二匹。
佐々木小次郎の燕返し並みの反射神経(?)で、二匹とも仕留めることに成功し、見事モスキートスレイヤーとなりました。
そんな蚊に悩まされる季節も、そろそろ終わりですね。
さて、メルマガ「KOKUTAI ONLINE」での連載、第3回が本日配信されましたので、転載いたします。
ブラウザでは、こちらのURL↓から全文読むことができますよ。
第3回「雨ニモマケズ風ニモマケズ?」
台風の季節です。
小学生の頃は、台風で雨風が強くなりそうな予報が出ると、結構な確率で市内の全小学校が休校になっていたものです。ところが、休校になったときに限って台風の進路が逸れたり、いざ台風が来てみるとさほどの威力ではなかったり、拍子抜けすることも多かった記憶が。
「ラッキー、儲かり!」
そんな日は、なんだか「お休みのボーナス」をもらえたような気分。家でのんびりテレビを見たり、母や(同じく小学生だった)兄と遊んだり、自由な時間を楽しむのが常でした。
今や大学生にもなってみると、ちょっとやそっとの台風ではなかなか休みにはなりません。たかが台風一つで大学病院が機能停止していたら、患者さんにとって不便極まりないですものね。
しかし、ときには
「明日台風で実習休みにならないかなぁ」
なんて、不埒な考えが頭をよぎることもあります……だって、人間だもの。まだ遊びたい盛りの学生なんだもの。
「でも、一人前の先生方は、きっとそんなこと考えないんだろうなぁ」
……と、思っていたのですが。
この間、台風の日の回診でこんな一幕がありました。
准教授「あー、今日は台風で回診なくなるかと思ったのに」
若い先生「……小学生ですか?(笑)」
上の先生方も、やはり人間、なんですね。
雨ニモマケズ風ニモマケズ、今日も病院は平常運転です。
*トリおんな*
↑メルマガ「KOKUTAI ONLINE」で連載中。アドレスのみでラクラク購読登録できます。
かちかち山?
学生最後の夏休みが終わり、今日からまた実習でした。夏休み、長かったような短かったような。
休み中の最大のイベントは、何と言ってもマッチングの試験でした。
試験当日の朝は、5時に起きてクエスチョンバンクと格闘。
「もしかしたら、今ここで解いた問題が試験に出るかも……!?」
そう思うと、何だかそわそわどきどき。家を出るぎりぎりまで、傍らにノートを置いて勉強していました。
ほんの1週間前にはのんびりテレビを見る余裕があったのに、試験直前になると悪あがきをしたくなる……時間の長さは同じでも、まったく密度が異なるのが不思議です。
このことを母に話してみました。
トリ「なんかさー、試験前って、試験が近づくとどんどん時間の密度が上がる気がする」
トリ母「なに?『時間の密度』?」
トリ「加速度的に、勉強のモチベーションが上がるっていうか」
(一瞬考えこむトリ母)
トリ母「あー……そんなに難しく言わなくても、それって単に『お尻に火がついた』ってことよね」
_人人人人人人人人人人人人人_
>結局、お尻に火がついただけ<
 ̄^Y^Y^Y^^Y^Y^^Y^Y^Y^Y ̄
「かちかち山」みたいΣ(゚д゚lll)
でも、確かにそのとおり。カッコ悪いことを、いくらカッコイイ雰囲気で言ってみてもダメですね(笑)
こんな↓時間の使い方をできる、カッコイイ人になるのが理想です。
*トリおんな*
【勉強記録】TECOM必修講座おわり!
勝手に進捗報告。
QB online
2017/08/16 1713位
↓
2017/08/24 1484位
TECOM「必修の罠」講座 18コマ
視聴完了
なかなか良いペースです。
*トリおんな*
自由な研究
早いもので、8月も下旬です。
先週、母とショッピングに出かけました。
いろいろ買い込んだ後、ベンチに座ってふぅとひと息。すると、どこからか視線を感じました。
目を上げてみると、小学3年生くらいの男の子が、クリップボードを大事そうに胸に抱えて、こちらを見つめていました。男の子の背後では、お母さんらしき女性がそっと見守っています。
(あら、私に何かご用かしら)
トリ「どうしたの?」
少年「あの…これ…」
おずおずと差し出された紙には、トパーズ、オパール、ルビー、水晶、ダイヤモンドetc、何種類もの宝石が描かれていました。
とっても緊張ぎみの少年くん。わかるよ、知らない大人に話しかけるの、とっても勇気が要るものね。
少年「あ…あの…この中でどれが好きですか!」
どうやら、夏休みの自由研究でアンケートを取っている模様。
トリ/ トリ母「ダイヤモンド!」
「宝石の王様」の名前を即答する、大人女子二人。がめつい。笑
少年「わかりました!…では、この中で当てはまるのはどれですか?」
……あら、年齢も答える仕様なのね。
トリ「うーん、じゃあ当ててみて。わたし、何番に見えるかな?」
想定外の質問返しに、一瞬フリーズする少年。
しばらくの沈黙の後、
少年「②か③かなぁ」
トリ「ありがとう!③だよ!」
ぴちぴちの10代に見られてご機嫌なトリおんなでしたが、後で母に「子どもさんをいじめないの」と窘められました(笑)
……そろそろ小学生の夏休みも終盤のはずですが、彼の自由研究はちゃんと仕上がったかな。何だかほっこりした出来事でした。
*トリおんな*