トリおんな(24)の医学生日記

2018年3月、某国立大学医学部を卒業しました。/KOKUTAI ONLINEで連載(2017.8-12)

グリーンリボンDAY

本日10月16日は「グリーンリボンDAY」だということ、ご存じでしょうか。

 

グリーンリボンは、移植医療の世界的なシンボル。
10月16日は、1997年に臓器移植法(「臓器の移植に関する法律」)が施行された記念すべき日。移植医療の発展への願いを込めて、この日を「グリーンリボンDAY」と制定したそうです。

 

……1997年。
そう、今年は20年目の節目なのです!これを記念して、各地で関連イベントが行われているようですね。

私もこの週末、(卒試勉強をいったん横において笑)、とある臓器移植関連の市民講座を聴講しに行ってきました。

移植医療については、前から学びを深めてみたいと思っていたのです。

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(市民講座でいただいた資料とウチワ。可愛らしいです!)

 

日本国内ではなかなか移植を受けられないがゆえに、善意の寄付を募って(「〇〇ちゃんを救う会」のように)海外に渡って移植を受けたり。
家族から肝臓を分けてもらって生体肝移植を受けたり。
……いまの日本にはこのような形の「移植医療」が少なくありませんが、

・外国で移植を受ける
→その国の待機患者の列に割り込むことになる
・生体肝移植
→健康なドナーの身体にメスを入れる=ドナーの健康を害することになる

ということで、「本来あるべき医療の姿」からはズレてしまう面があるのもまた事実。

そのため、日本国内で心停止下や脳死下の臓器提供が増えることが望まれます。

 

医学的なバックグラウンドのない方のなかには、「臓器移植」というワードに「臓器を無理やり奪われる」というようなネガティブなイメージをもっている方も多いのだそう。
臓器提供をするにせよしないにせよ、漠然とした「怖そう」というイメージではなく、正しい理解の上に立って選択をする必要があります。


市民講座の内容を一部引用すると…

 

・「心停止」や「脳死」になったら臓器提供を迫られる?
→臓器提供はあくまで選択肢の一つ。断りたければ断っても良い。

 

そもそも「脳死」とは?生き返る可能性はないの?
脳死とは、「脳」という臓器の不可逆的な機能喪失。身体は温かくとも意識が戻る可能性はゼロで、放っておけば近いうちに心臓も止まる。脳死患者が助かる道はないが、心臓はまだ動いている=臓器に血流が送られているので、脳死下なら「フレッシュな」臓器を提供できる。

 

痛そうだけど……?
→そう思うのは個人の自由。「痛そうだから」と思うなら、断っても構わない。それも一つの考え方。

 

・臓器提供すると、身体を切り刻まれる?
外見からはほとんど分からない。傷はきれいに修復してくれるし、そもそも肋骨があるので臓器提供しても「身体がぺちゃんこになる」ようなことはない。

 

・本人が「臓器提供をする」と意思表示していた場合、家族に拒否権はないのか?
→本人が生前に「臓器提供します」と言っていたとしても、家族が嫌なら拒否できる!本人に意識はないから、最終的に決めるのは家族。

 

・逆に、本人が生前に「自分は臓器提供しない!」と言っていたにも関わらず、意識がないのを良いことに臓器を奪われる可能性はある?
→まったくない。家族に臓器提供のオプションが提示されるのは、「本人に臓器提供の意思がある」or「本人の意思が不明」の場合のみ。

 

 

グリーンリボンDAYを記念して、今日は各地でライトアップなどのイベントも行われたようです。

 

www.asahi.com

「臓器提供する/ しない」は、簡単に決められることではありませんから、すぐに結論が出なくても別に良いのです。
ただ、いざというときに、過酷な決断を迫られるのは「家族」です。残される者の判断材料となるよう、時には大切な人と一緒にこの問題について話をしてみるのも良いのではないかと思い、ブログ記事にしてみました。

……知っておくこと、考えてみることって、とても大事ですから。

 

さて、珍しく真面目な記事を書いたので長くなりましたが ……。

ぼちぼち、大人しく卒試勉強に戻ろうと思います(笑)

 

*トリおんな*

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(市民講座に行ってみて思ったのは、「市民講座」と言えど、聴衆の中には医療関係者が多かったということ。看護師さんなどが連れ立っていらしていたようです。

……でも、本当に伝えなければいけない相手は、そもそも市民講座に来ていない、医療にあまり関心のない層の人たちなのかもしれません。そういう方々に振り向いてもらうには、どうすれば良いのでしょうね)

 

 ↓臓器移植といえば、この本も良かったです!

torionna.hatenablog.com