トリおんな(24)の医学生日記

2018年3月、某国立大学医学部を卒業しました。/KOKUTAI ONLINEで連載(2017.8-12)

『コウノドリ』1話感想

昨日放送開始のテレビドラマ、『コウノドリ』シーズン2。

金曜ドラマ『コウノドリ』|TBSテレビ

シーズン1がとても好きだったので、今回も放送開始を心待ちにしていました。
(シーズン1は放送時期がちょうど産婦人科の座学と重なっていたので、講義で教わった疾患が登場するなど、とても印象深かったのです)

そういうわけで、第1話の感想を。

 

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第1話を観て、まず一番に思ったことは……
このドラマ、働く女性の気持ちをめちゃめちゃ代弁してくれてる!!


劇中にキャリアウーマンの妊婦が登場しましたが、産休に入るため後輩に仕事の引き継ぎをしたところ、チクリと嫌味を言われるシーンがありました。

視聴者としては「何、あの後輩。嫌な感じ!」で済みますが、これがもし現実世界の話だったら。聖人君子じゃないんですから、後輩が
「何で私が、可愛くもない他人の子供のために、プライベートの時間を犠牲にしてまでたくさんの仕事をこなさなきゃならないの?」
と思うのも当然と言えば当然です。(自分が独身だったら尚のこと、モヤモヤしそうですね)

 

産休で人員が抜けたことによるシワ寄せが「個人」に来てしまう、社会のシステムそのものが問題を孕んでいる気がします。

ドラマで下屋先生も言っていましたが、政府が「赤ちゃんを増やそう!」と言っている割には、受け皿がととのっていません。(そしてそれは、多くの女性医師も直面する問題です)
誰か特定の「個人」ではなく「社会全体」で妊娠出産や子育てをバックアップできる体制があれば。そうすればきっと、誰も嫌な思いをすることなく、みんなで赤ちゃんの誕生を寿げるのに。

 

私の母は元教師(公立中学)です。
母が言うには、教員が産休や育休を取る場合、自治体からすぐにピンチヒッターの先生が派遣されて来て、仕事に穴が開かないようになっていたのだとか。通称「産休先生」だそうです。(自治体によって制度が微妙に異なるかもしれませんが……)産休を取ったとしても仕事のシワ寄せが同僚に行くことはないから、休む側も肩身の狭い思いをしなくて済むし、送り出す側も気持ちや時間に余裕をもてる。

利益重視の一般企業や、専門性の高い医師のような職業ではなかなかすぐには難しいのかもしれません。でもね、政治家の先生方。本気で少子化を食い止めたいなら、こういう体制づくりって急務だと思いませんか。

 


そしてもう一つの注目ポイントが、夫の「(子育てを)俺も手伝うよ」発言。
「『手伝う』って何じゃい、あんたの子供でしょ」と思っていたところ、そのまんま四宮先生がガツンと言ってくれました。先生グッジョブ。

 

夫には何も悪気はないのでしょうが、悪気がないから許されるわけではありません。むしろ、本質に気づいていないからこそタチが悪い。
「家を守るのが女の仕事」という時代はすでに過去のもの。出産後の女性も社会に出て働いているのに、そのうえ子育てまで全部女の仕事って言われちゃあ、たまったもんじゃないですよね。
(とは言え、専業主婦はそれはそれで別の苦労がありそうです。夫婦の力関係として、お金を稼ぐ夫のほうが優位になりがち、とか。いずれにしても大変です)

 


それから、医療者目線での感想としては、今橋先生の「病気の重さと心の重さは一緒じゃない」という言葉が心に刺さりました。

赤ちゃんが心室中隔欠損(VSD)と診断され、母親がとても不安そうな表情を浮かべていたシーンがありました。
医療者にとっては、VSDはさほど珍しい疾患ではありません。ですから、客観的なデータから「一旦退院して経過観察」とするのは正しい判断でした。しかし、若いお母さんにしてみれば、世界に1人の我が子の心臓に「穴が開いている」と言われたわけです。それは不安にもなるでしょう。

「医療者にとって『大したことない』ことでも、患者さんにとっては『大したことある』場合がある」

医学的知識を身につけた私たちだからこそ、医学に関しては「ずぶの素人」である患者さん達の不安を丁寧にすくい上げていくことが求められるのだろうと思います。

 

そういうわけで、長くなりましたがドラマの感想でした。これから毎週金曜日が楽しみです。

 

*トリおんな*

☆第112回医師国家試験まであと119日☆

 

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コウノドリ』のもう一つの魅力が、塩顔イケメン祭り(笑)です。

皆さん魅力的ですが、トリおんなは、敢えて選ぶなら白川先生派かな。でも四宮先生のツンデレ加減も好きだし、サクラ先生のピアノにも聞き惚れます。きゃっ。
……前クール『コード・ブルー』で「白石先生・緋山先生・冴島さんの誰がタイプか」談義に花を咲かせていた、同学男子諸君。今度は女子のターンだからね〜!ふふふ。