トリおんな(24)の医学生日記

2018年3月、某国立大学医学部を卒業しました。/KOKUTAI ONLINEで連載(2017.8-12)

コーヒー2杯分のゆとりを

実習の昼休みの出来事です。
購買でコーヒー(ボタンを押すとマシンがその場で豆から挽いてくれるタイプの)を買って、いざ束の間のコーヒーブレイクを楽しもうとした、まさにそのとき。

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ブルル、ブルル。
ポケットの携帯が震えました。見ると、指導医の先生からの着信。

「もしもし」
「あっ、◯◯さん。今からすぐにナースステーションまで来られる?」
「はい……わかりました……」

 

呼び出しの理由はすぐに終わる案件だったので、ほっとしました。患者さんが急変したなんていう連絡じゃなくて、本当によかった。

 

ただ……。
淹れたてのコーヒーを捨てるにしのびず、持って行ったのですが、用件が片づいた後で飲んだぬるいコーヒーの味は、何だかとても切なかったです(涙)


さて。
昔読んだ英語の小話で、印象に残っているものがあります。タイトルは「The Mayonnaise Jar and 2 Cups of Coffee」。

(こちら↓から全文読むことができます)

The Mayonnaise Jar and 2 Cups of Coffee


大すじとしては、以下の通り。

 

*・*・*・*・*・*・*・*
教授が学生に一つの広口瓶を見せ、まずビンの中にゴルフボールを入るだけ詰める。
教授「このビンが、満杯に見えるかね?」
学生「はい」
教授「ふっふっふ。甘いねぇ(`∇´)」
教授、たくさんの小石をゴルフボールの隙間に入れる。
教授「さぁ、今度は満杯かい?」
学生「はい、満杯です」
教授「まだだぴょーん( ̄∇ ̄)」
今度は、細かな砂をビンの中に流し込む教授。
教授「さぁ、これでこのビンはようやく満杯だ」

教授「さて。ゴルフボール=最も大切なもの(家族など)、小石=まあまあ大切なもの(仕事など)、砂=どうでもいい物事、と考えてみよう。ビンは、人生そのものだ。砂を先に入れてしまえば、ゴルフボールが入らなくなってしまう。限りある人生のなかでは、君たちにとって大切なもののスペースを先に確保しなければならないんだ」
*・*・*・*・*・*・*・*

 

ね、いい話でしょう。
でも、私が一番気に入っているのは、この後のオチの部分なんです。


*・*・*・*・*・*・*・*
「だが、たとえ人生がキャパオーバーに思えたとしても」
そう言って、2杯のコーヒーをビンに流し込む教授。
「友人と一緒にコーヒーを楽しむくらいの余裕は、残っているものだよ」

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*・*・*・*・*・*・*・*

 

……昼休み、飲むタイミングを逃してしまったコーヒー。卒業して働きはじめれば、こんなことはきっと日常茶飯事なのでしょう。

でも、日々の仕事に忙殺されて、心の余裕までなくしたら、医師としてのパフォーマンスも落ちてしまうと思うのです。いくら「患者さんの役に立ちたい」と思っていても、まずは自分自身が楽しい気分でなくちゃ、人様に幸せを分けて差し上げるのは至難のわざ。だって、医師もひとりの人間なんだもの。


忙しい毎日でも、心のゆとりを忘れない人になりたい。
日に日に国試・卒業が近づくなか、そんなことをつらつら考える今日この頃です。

*トリおんな*

 

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When things in your life seem almost too much to handle, when 24 hours in a day are not enough, remember the mayonnaise jar and the 2 cups of coffee.