トリおんな(24)の医学生日記

2018年3月、某国立大学医学部を卒業しました。/KOKUTAI ONLINEで連載(2017.8-12)

祭りだ!ヤッホイ

実習で担当した患者さんとの接し方は人それぞれ。
患者さんとの世間話を楽しむ学生もいれば、最低限の身体所見を取ったら終わり、という学生もいます。

 

私の実習スタンスはどちらかといえば前者。
これは、患者さんのためというよりは私自身のため。患者さんとの世間話から、思わぬ新発見をすることがあるのです。

 

夏休みに入る前、70代男性(Kさんとします)を担当しました。
Kさんは「敵を倒すには、まずは相手を知らなければ」と、自身の病気についての本を付箋でいっぱいにするような、エネルギッシュな方。入院中で不自由なことも多かったでしょうに、背筋のシャンと伸びた姿からは、その辛さが透けることはありませんでした。

 

長年、地域のお祭りの実行委員を務めてきたKさん。
「今の社会は、とにかく同世代どうしでつるみがち。トリちゃんみたいな若者にとっちゃあ、身近な年寄りなんて、自分のじじばばくらいだろ」
「祭りの良さっていうのは、他の世代と交流を持てるところでね。確かに若者にとっちゃあ厳しい規律なんかもあるけど、それを通して成長するんだ」

私は20年以上同じ県に住んでいながら、幼少時に親に連れられて行って以来、Kさんの言うお祭りに行ったことが一度もありませんでした。しかし、Kさんの話を聞いて無性に行きたくなったので、友人を誘ってまだ暗いうちに起き出して見に行ってみたのです。

 

……驚きました。
勇壮な太鼓が、掛け声が、直に響いてくるのです。これまで見に行かずに、本当に勿体無いことをしたなぁと心から思いました。

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翌週、Kさんにお祭りの写真を見せたところ、たいそう喜んでくださいました。
「そうそう、これよ!本当の祭りっていうもんは」

 

患者さんの多くは人生の大先輩ですから、話すと世界が広がります。

Kさんがしっかり病気を治して、来年はまたお祭りで勇姿を見せてくれるよう祈っています。

 

*トリおんな*

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