「いたしません」
今回は、少しモヤモヤした出来事を書きました。
自慢ではありませんが、私は英語が得意なほうです。
そのため、外国人の留学生と実習で一緒になると、いつも通訳係に。英語は好きですし、外国の方の手助けになるならと喜んで引き受けています。
ただ……。
私の英語力を買ってくれてのことか、時おり、同級生から大量の通訳やら翻訳やらを頼まれることがあるのです。
とある同学男子X君曰く、
X「トリさん、これ、僕の英語のレポートなんだけど……。締め切り来週で焦ってて!チェックしてくれるとマジで助かる!」
トリ「えー、力にはなりたいけど、ちょっと最近忙しくて……」
X「ちゃんとお礼するから!ねっ!」
トリ「うーん、わかった……。じゃあ今度ご飯おごってね〜(笑)」
X「おう!任せて!」
X君に渡された原稿を見てみると、原稿には文法の間違いやスペルミスや、時には何が言いたいのか汲み取れない文も多数。その全てに下線を引いて、訂正コメントを書き込むのに要した時間は、実に1時間でした。
私は普段塾講師のアルバイト(時給◯千円)をしています。ですから、S君のために「◯千円分」の時間を割いた計算に。
トリ「Xくん、添削できたからメールに添付して送るね!」
X「おう、サンキュー!」
トリ「それでね、お礼なんだけど、私おいしいイタリアンが食べたいな〜」
X「えー、今金欠なんよ(笑)また今度ね(笑)」
そしてそのまま、X君から再び連絡が来ることはありませんでした。
“トリさんに頼めば、同級生のよしみでタダで引き受けてくれるだろう”?
“トリさんなら英語好きだから、僕のレポート添削も楽しんでやってくれるだろう”?
……うーん。
X君に悪気がないのは分かっているのです。分かっているのですが、でも……。
狭量なことを言うようですが、私の英語力は私自身の財産。英語力を磨くために、それ相応の努力もしてきたつもりで、その「財産」をどう活用するかは私が決めるものだと考えています。
人の手助けができるのは嬉しいことなので、実習中に片手間でできる程度のちょっとした通訳なら「任せて!」と思います。
しかし、X君のレポートの添削の場合、それとはちょっと次元が違いました。
レポートの出来がX君の評価にも関わると思うと、当然責任も伴います。そのため、かなり慎重に添削したこともあり、私にとってはただの「善意」で引き受けられる仕事量ではありませんでした。
何も、お礼に釣られて引き受けたというわけではないのですが、X君の言葉や態度に、何となく胸の内にわだかまるものが残りました。
……さて、この苦い経験があって以来、同じような案件は誰からの頼みであっても等しくお断りすることにしています。少し心苦しくはありますが、私自身の心の平穏と、時間とを守るためです。
「いたしません」
たまには、断る勇気を持つことにします。
*トリおんな*