患者さんがみてる
当たり前のことですが、患者さんをないがしろにしてはいけない、と感じた出来事がありました。
担当患者さんには、基本的に毎日会いに行くようにしています。医学生として診察をさせていただく日もありますが、話し好きの患者さんの場合、時には世間話に移行することも。
普段は患者さんとのおしゃべりは楽しいものなのですが、ある日、次の予定が迫っていて時間が押しているタイミングで、内心「今日はほどほどに切り上げなくちゃ」と思いながらお話ししていたことがありました。
そのとき、突然患者さん(気さくなおじさま)に言われたのです。
「いま、帰りたいって思ってるでしょう?」
わたし、口に出していないのに。どうして分かったんだろう。
取り繕っても仕方ないので、その場では次の予定があることをお伝えして退室しましたが、とても気になったので翌日尋ねてみました。
「昨日、どうして私が急いでるってお分かりになったんですか?」
「ああ、腕時計を見ていたからね〜」
「あと、膝の向きが僕のほうに向いてなかったから、あまり身を入れて話を聞いてくれてないんだなって思った」
…なるほど。それにしても、鋭いです。腕時計は、ちらっと目を落とした程度だったのですが。気をつけなくちゃ。
患者さん達は、口に出さなくても、本当はこちらが思っている以上に医療者の言動を観察なさっているのかもしれない、と身が引き締まる思いでした。
*トリおんな*