【本】はだれ雪(葉室麟)
『はだれ雪』(葉室麟)
葉室麟さんは、私の好きな作家さんの一人です。
直木賞を受賞した『蜩ノ記』(映画化もされましたね)で出会って以来、過去作もかなり読みましたし、新刊が出るたびにチェックしています。
かなりハイペースで新刊を出されている印象を受けます。
さて、本作は一言で表すと「忠臣蔵のサイドストーリー」です。内容紹介は下記の通り。(Amazonより)
扇野藩に流罪となった幕府の目付役・永井勘解由。若くして扇野藩士中川家の後家となった紗英は、勘解由の接待役兼監視役を命じられた。この年、江戸城内で藩州赤穂の大名浅野内匠頭が高家筆頭吉良上野介を斬りつける事件が起きていた。浅野内匠頭は即日切腹。だが勘解由は老中に切腹見合わせを進言し、切腹直前、ひそかに浅野内匠頭の“最期の言葉”を聞いたという。その行いが、将軍徳川綱吉の機嫌を損ねたのだった。雪が舞い散る中、屋敷に到着した勘解由を迎え入れた紗英は、役目を全うしようとするが―。身分を隠し、勘解由の元を訪れる赤穂浪人。勘解由のやさしさに惹かれてゆく紗英。扇野藩に、静かに嵐が忍び寄る。時代長編!
漢字が多いですね。ここだけ画面が黒っぽいです(笑)
以下、感想です。
・いつも安定のクオリティです。今回も、さわやかな読後感でした。
・「忠臣蔵のサイドストーリー」ではありますが、主人公は架空の人物。史実との絡め方がとても上手いと感じました。
・葉室さんの描く女性像は、たいてい「もの静かで」「芯が強くて」「いざという時には命を懸けて夫/想い人に寄り添う」女性。(容貌の描写としては「目元の涼しげな女性」も頻度高め。葉室さんの好みのタイプなのかしら….…)本作でも、例に漏れずこの系統の凛とした女性が登場します。もちろん本作の内容にはそれが一番合うのでしょうが、違うタイプの女性をメインに据えたお話もぜひ読んでみたいものです。おてんば娘なんていかがでしょうか、葉室先生。
余談ですが、葉室さんの描かれる女性主人公としては、↓の作品の姉妹が今までで一番好きです。弓の道をきわめた芯の強い女性が出てきます。弓道部の方、ぜひ。
*トリおんな*